デザインが良くなったらどうなるの? #5

株式会社NASUのメールマガジン
株式会社NASU 2025.04.02
読者限定

おはようございます!株式会社NASUです。ようやく秋がやってきた感じがしています。NASUがお届けするメールマガジン「デザインが良くなったらどうなるの?」の5号をお届けします。

「デザインが良くなったらどうなるの?」では、主にビジネスパーソン向けに「デザインをよくすることがビジネスにどう影響するのか?」をお伝えしていきます。

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今週のテーマ:

01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える:
デザインだけどデザインしない

02 | 世の中のデザインを深掘りする:
ピンチはクイズ、ピンチの時こそいいクリエイティブが生まれる

03 | NASUのデザインが生んだビジネスの変化:
コロナ禍での名刺交換を楽しいものにしたい

04 | デザインの疑問に一問一答!:
Q. 何回まで修正してもらえますか?

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01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える

デザインだけどデザインしない

(執筆 : 前田高志)

どうも!こんにちは。 株式会社NASU代表の前田高志です。 ずいぶん涼しくなって、前田はとうとう長袖になりました。

先日、zoom相談を受けた。 異業種からWebデザイナーになりたいと転職活動をがんばっている人です。 短期間でよく勉強していると感じた。 だから、見た目のデザインはほとんど話していない。

デザインのことを真剣に考えるほど、デザインの話をしなくなります。 じゃあ、何の話をするのか? それは「どう考えて、何をするか」なんですよね。経営者さんやビジネスパーソンも同じ「観点」で話していることです。 観点とは、「立場」や「視点」のことです。拙著の書籍『愛されるデザイン』に全方位思考という言葉があります。 360°全方位の立場で思考すること。これが観点のお話です。


その観点をクリエイティブに落とすことがビジネスにおいて重要なんですが、苦手と感じていらっしゃる方もいるようなので、その方法をお伝えします。以下、本人の許可を得ており、詳細は伏せてます。


 Webサイトは、甘いみかんを販売しているみかん農園さんでした。つっこんで聞いてみると、他農家よりある工夫があってみかんが非常に甘い。しかし、それがお客さんに伝わっていない。 他の農園に買いに行ってしまう。他の農園は敷地も広く「みかん狩り」がウリになっている。 伝わっていないこと、価値を作ること。それが課題の本質でした。  


・他の農園より甘いと感じてもらう 

 Webサイト(MV)のビジュアルは、現状「幸せそうな人の笑顔」 →それを「ストレートに甘そうな水々しい写真(イラスト)にしたらどうか?」というアドバイスをした。食品においては直感に素早く届くのが強い。「でも、本当に甘い?クレームが来たらどうする?覚悟はある?」ということも付け加えました。グラフィックデザインにおいて一番ウソがよくない。ファーストインプレッションで虜にさせるという企画です。 

・農園の根拠のあるこだわりが欲しい 

甘い根拠が弱い→「制作者の顔とストーリーを出す」「甘さの根拠をテキストメッセージにし、ビジュアルにする」というのはどうか?というアドバイスをした。この農園にしかないDNAが反映される。MVで直感的にアプローチしたあと、論理で納得してもらうという企画です。 

・みかん狩りができない課題を企画で解決

Webサイトにこの農園にしかないものがない→「かわいいみかん型のパッケージ」「砂糖を使わない甘いみかんミルクが飲める」「ショートケーキの土台を用意して、みかん乗せ放題」企画をしたらどうか?というアドバイスをした。ここでしか得られない特典を。このWebサイトは集客が目的です。

Webサイトの話から飛び出していますが、デザインの仕事って結局本質の話で、 実は、ほぼ企画の話をしています。 企画の上達のコツは、世の中の企画事例をストックとして持っておけば、「〇〇のように」と伝えることができます。


観点を具体的な案にするということは、 観点にあった、心のマグマ(不平不満)を企画で解決すること。 企画をこれまでの事例から引き出すことです。魅力を抽出、転用することです。

 例えば、ポケモンのアイデアは、ゲームクリエイターの田尻智氏の幼少期の体験が基になっています。彼は虫捕りや、ビー玉やメンコを友達と交換したり、コレクションしたりする遊びを楽しんでいました。この「交換」や「コレクション」の感覚が、ゲーム内でモンスター同士を交換するアイデアに結びつき、ゲームボーイの通信機能を活用したポケモンの交換システムが生まれるきっかけとなりました。「抽出・転用」については『メモの魔力』(幻冬舎)という書籍がおすすめです。

今日から、ビジネス現場でぜひ活用してみてください。

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続きは、3309文字あります。
  • ピンチはクイズ、ピンチの時こそいいクリエイティブが生まれる
  • コロナ禍での名刺交換を楽しいものにしたい
  • Q:何回まで修正してもらえますか?
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