デザインが良くなったらどうなるの? #4

おはようございます! 株式会社NASUです。肌寒い日が増えたと思いきや、日中はまだまだ暑い。季節の変わり目を感じます。さて、NASUがお届けするメールマガジン「デザインが良くなったらどうなるの?」の4号をお届けします。
「デザインが良くなったらどうなるの?」では、主にビジネスパーソン向けに「デザインをよくすることがビジネスにどう影響するのか?」をお伝えしていきます。
今週のテーマ:
01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える:
映画、マンガ、ゲームにおいてのロゴは「ロゴ立ち」が大事
02 | 世の中のデザインを深掘りする:
『ゴミうんち展』を見て感じた「なんか違う」を生まないためのコミュニケーションデザインとは?
03 | NASUのデザインが生んだビジネスの変化:
届くと明るい気持ちに。思わず開けたくなる封筒デザイン 株式会社ベネッセコーポレーション
04 | デザインの疑問に一問一答!:
Q. まだ依頼するかわからないけど、相談だけしても大丈夫?
01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える
映画、マンガ、ゲームにおいてのロゴは「ロゴ立ち」が大事
(執筆 : 前田高志)
おはようございます!前田高志です。だいぶ涼しくなってきましたが、まだまだ半袖で元気です。
僕は「ロゴ立ち」という言葉を頻繁に使っています。これはひょっとしたら僕だけかもしれませんが、何のことかわかりますか?このメルマガを最後まで読めば理解できると思います!
実はメルマガ読者さんから質問をいただいたので、それにお答えしようと思います。こういった質問はとても嬉しいので、ぜひどんどん送ってください!
いただいた質問:
『傲慢と善良』(辻村深月著)のタイトルについて、小説の書影と映画ポスターでは改行する位置が異なるのが気になっています。
小説は『傲慢と/善良』である一方、映画は『傲慢/と/善良』。
もちろん人物など他の要素とのバランスも関係してると思いますが、『傲慢と/善良』の印象と『傲慢/と/善良』の印象が異なっていて、もやもやします。(小説をもともと読んでいた身としては映画の改行位置がしっくりこない)
改行位置を変えたことにどのようなデザインの意図があるのか、前田さんの意見をいただけると嬉しいです!
小説と映画でタイトルの見え方が違うのは、原作小説に思い入れがあるほど違和感があるかもしれませんね。ロゴというのは、器のように中に空洞があり、そこに感情や気持ちが入るものです。
小説の方は、フォントA1明朝をシンプルかつ大胆に構成しており、美しく感じますが、少し「ロゴ立ち」が弱い印象です。

(画像出典:朝日新聞出版社より)
映画の方は、フォントが異なっていますね。(何のフォントでしょう?)調べてみます。上に伸びた「と」を強調したかったのかな、と意図を感じます。

(画像出典:映画『傲慢と善良』公式サイトより)
では、なぜロゴを変えたのでしょうか?
これは、おそらく映画ではプロモーション活動が重要だからではないでしょうか。パンフレット、広告、グッズなど、あらゆる媒体で展開する必要があります。展開場所が変わった際にもロゴが認識されやすく、「ロゴ立ち」することが求められるのです。
「ロゴ立ち」とは、情報として最も目立つレイヤーに配置されるべきということです。「傲慢と善良という映画」という情報が最前面に出ることが重要です。小説のままのロゴだと、キャッチコピーのように見えてしまいます。
コンテンツには、キャッチコピーやメインアート、キャラクターなどさまざまな要素が存在し、それぞれの役割があります。ロゴはその中で最も目立つレイヤーに配置されるべきです。それが「ロゴ立ち」です。
このロゴを作ったデザイナーさんも、もとのイメージを残しつつ展開を考慮する必要があったため、葛藤があったと感じます。フォントだけでロゴ立ちをさせる組み方や、上に伸びた「と」を中央に配置することで、サイン造形としてのロゴ立ちを実現しています。
ロゴの役割と機能――映画のプロモーション展開において、ロゴはその役割を果たしています。
たとえば、サービスを人に伝えたい場合でも、ビジネスにおいても、情報の優先順位や見え方は重要ですので、「ロゴ立ち」を意識してみてください!
この記事は無料で続きを読めます
- 『ゴミうんち展』を見て感じた「なんか違う」を生まないためのコミュニケーションデザインとは?
- 届くと明るい気持ちに。思わず開けたくなる封筒デザイン 株式会社ベネッセコーポレーション
- Q:まだ依頼するかわからないけど、相談だけしても大丈夫?
- NASUからのお知らせです。
すでに登録された方はこちら