デザインが良くなったらどうなるの? #15

株式会社NASUのメールマガジン
株式会社NASU 2025.04.02
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おはようございます。株式会社NASUです。3月も後半を迎え、春の気配を感じられる日が増えてきましたが、まだまだ冷たい風にコートが手放せない朝夕も続いていますね。皆さま、体調など崩されていませんか。今日もビジネスパーソンの皆さまに向けて「実務に活かせるデザインの知識」をお届けします。ぜひ最後までご覧いただき、ご自身のお仕事にお役立てください。

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今週のテーマ:

01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える:
企業を進化させるクリエイティブディレクションの力

02 | 世の中のデザインを深掘りする:
話題の広告について、改行位置よりもっと気になること。

03 | NASUのデザインが生んだビジネスの変化:
「実際に体験してみたくなるワクワク感を与えるデザイン」パナソニック株式会社

04 | デザインの疑問に一問一答!:
Q. ホームページやロゴの刷新を考えているが、何から手をつけるべきでしょうか?

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01 | 前田高志がデザインの考え方・視点を伝える

企業を進化させるクリエイティブディレクションの力

(執筆 : 前田高志)

NASUのパートナーでもある株式会社With Midwifeさん。この写真は助産師さんの会社であることがわかりやくていいなと思っているのですが、代表の岸畑さんはピッチのとき、あまり使っていない気がする。でも、僕はWith Midwifeのクリエイティブディレクターでもあるので、「この集合写真はもっと使ったほうがいいですよ」と伝えました。

なぜあまり使っていないのかは、正直なところしっかり議論したわけではないのですが、もともとWith Midwifeさんはコーポレートロゴを刷新するときに「企業感」をクリエイティブで伝えるというテーマがありました。しかし実際、この集合写真は「どうだ感」が出てしまっているところがあるかもしれない。ビジネスというより、「頑張っている女性たち」「頑張っている助産師たち」に見えてしまう。もしかしたら、SNSに自撮りをあげているような感じかもしれない。でも、僕としては積極的に使いたいと考えています。

その辺の判断って、客観視です。自分のことってなかなか判断しづらい。だから、ユニクロでいうと柳井さんと佐藤可士和さんのように、経営者+クリエイティブディレクターとの掛け算が効果を発揮するのだと思います。

実際、With Midwifeさんは看護師、助産師、保健師とさらに独自の知見があって、いわば“本物”のプロフェッショナルなんです。僕はクリエイティブディレクターとして「もう少しエモーショナルな感情を出すほうがいいですよ」と思っている。なぜなら、岸畑さん個人のエモーショナルな部分、あるいは助産師ならではの“頑張り”や“想い”みたいな部分が伝わったほうが、見ている側にも伝わるからです。これは“本人の思い”と“クリエイティブの視点”のズレとも言えますよね。もちろん加減は必要です。

そして、企業のサービス自体を「他のサービスとは違うものですよ」と説明するときって、どうしても事実ベース、情報ベースで語らないと「なるほど、すごいですね」とはなかなか思ってもらえない。そのために情報ベースに寄せがちになることはわかります。

でも、With Midwifeの岸畑さんの場合、エモーショナルな部分こそが周囲からの支持を得る大きな要因でもあるから、そこを隠す必要はない。むしろそれがあるべき姿で。ブランディングとはあるべき姿の可視化なんですよね。クリエイティブディレクターは何をするのか?一例としては、「客観的に見たときの印象」を言語化して、事業側の思いとすり合わせていくんです。どうしても「最大公約数的」に落ち着きがちな場面でも、「これでいきましょう」と判断して伴走する役割。

ビックカメラとユニクロで「ビックロ」なんて、まさに経営者とクリエイティブディレクターだからこその尖ったアウトプットじゃないでしょうか。経営陣だけではクリエイティブ面の専門的な感覚的判断は難しいこともあるし、逆に現場の声を聞きすぎると、サービスが振り切れなくなってしまうこともある。だからこそクリエイティブディレクターが必要なんです。「クリエイティブは小人数決済」のほうがいいとクリエイティブ業界ではいわれますが、まさにそれもあるでしょう。

実際、こういう「クリエイティブな視点でしか見えてこない価値」って、会社運営やサービス提供において絶対にあると僕は考えています。いかに情報を整理するだけでなく、エモーショナルな部分を織り交ぜて伝えるか。ギリギリまで尖れるか。そのバランスをとって、最終的にはビジネス面でも結果を出す――そういう経営者×クリエイティブディレクターの重要性を、With Midwifeの事例を通じて改めて感じました。

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  • 話題の広告について、改行位置よりもっと気になること。
  • 「実際に体験してみたくなるワクワク感を与えるデザイン」パナソニック株式会社
  • Q: ホームページやロゴの刷新を考えているが、何から手をつけるべきでしょうか?
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